世界線日本史同時代史アーカイブ
五箇条の御誓文と新政府樹立を象徴するシルエットイラスト

明治元年

明治維新の時、アメリカでは何が起きていたか

1868年、江戸幕府が倒れ明治政府が誕生した。同じ年、南北戦争を終えたばかりのアメリカでは大統領が弾劾裁判にかけられ、南軍が発注した最強の軍艦が幕末の日本に流れ着いていた。

戊辰戦争の旗と甲冑を象徴するシルエットイラスト

日本

慶応4年(1868年)1月、鳥羽・伏見の戦いを皮切りに戊辰戦争が始まり、江戸幕府に代わる新政府が樹立された。同年3月には新政府の基本方針である五箇条の御誓文が発布され、9月には元号が明治と改められた。

江戸城は同年4月に無血開城となったが、東北・北越では新政府軍と旧幕府軍の戦いが続いた。この内戦は当時、来日していた各国公使から「日本版南北戦争」とも評されている。

新政府は中央集権国家の樹立を目指し、版籍奉還や身分制度の廃止など、あらゆる分野での近代化改革を急速に進めていくことになる。

議事堂と星条旗を象徴するイラスト

アメリカ

大統領弾劾とグラントの当選

明治維新と同じ1868年、アメリカでは南北戦争終結からわずか3年、南部再建(レコンストラクション)を巡る混乱の真っ只中にあった。同年2月、アンドリュー・ジョンソン大統領が下院で弾劾訴追され、3月には史上初となる大統領弾劾裁判が上院で開かれた。採決は賛成35票・反対19票と、罷免に必要な3分の2にわずか1票届かず、ジョンソンは辛うじて大統領の座を守った。

この混乱の中、同年11月の大統領選挙では南北戦争の英雄ユリシーズ・グラント将軍が圧勝し、第18代大統領に就任する。奇しくも南軍がフランスに発注した最強の軍艦「ストーンウォール」は、戦争終結後に不要となり、幕府がこれを購入して1868年4月に横浜へ入港していた。アメリカの内戦の余波が、そのまま日本の内戦(戊辰戦争)の帰趨にも影響を与えていたことになる。

なぜ同時期だと面白いのか

明治維新とアメリカの南部再建は、どちらも「内戦の直後にどう国をまとめ直すか」という同じ課題に直面していた点で似ている。日本は薩長を中心とする新政府が中央集権化を急速に進め、アメリカは南部の再統合を巡って大統領と議会が激しく対立していた。

さらに興味深いのは、両者が物理的にもつながっていたことだ。南北戦争で余った銃器や軍艦が海を越えて日本の内戦に流れ込み、戊辰戦争の戦況を左右していた。「明治維新」という一国の物語の背後に、アメリカの内戦処理という別の国の物語が、武器という形で密接に絡んでいたのである。

年表:1868年 日本と世界

時期日本アメリカ
1月鳥羽・伏見の戦い。戊辰戦争開始
2月24日ジョンソン大統領、下院で弾劾訴追
3月五箇条の御誓文発布
4月江戸城無血開城。軍艦ストーンウォール号が横浜入港
9月元号を明治に改元
11月3日大統領選挙でグラントが当選

※日付はグレゴリオ暦に統一して比較。日本側は当時和暦のため換算値です。